オズ、愛着って何?(その1)
『従来、愛着の問題は、子どもの問題、
それも特殊で悲惨な家庭環境で育った子どもの問題として扱われていることが多かった。
しかし、近年は、一般の子どもにも当てはまるだけではなく、
大人にも広く見られる問題だと考えられるようになっている。
しかも、今日、社会問題となっている様々な困難や障害に関わっていることが
明らかとなってきたのである。』
(岡田 尊司 『愛着障害~子ども時代を引きずる人々~』より)
こんにちは、オズの三輪です。
リクエストがありましたので、
先週に引き続き愛着理論のことについてお話したいと思います。
皆様は、『愛着』と聞いて、最初にイメージしたものは何でしょうか?
児童発達心理等を学習されている方なら、
『愛着』という言葉は聞いたことがあると思いますが、
一口で説明するのは難しいでしょうか。
実際、色々な人に聞いてみて一番多かった答えは『親子の愛情』でした。
皆様は、どのようなイメージを持たれましたでしょうか。
愛着理論では、母親(母親的役割)に対する子供の結びつき(愛着行動)、即ち「子供は、母親に愛されたい(守られたい)と本能的に望む」事を、『愛着(アタッチメント)』と定義されています。
つまり、『愛情』とは厳密的には違うという事です。
この『本能的に望む』事が生存本能によって強固に求め、又、自己存在証明に密接に関係していくものとなります。
子供が母親から守ってもらう為の行為(泣く・しがみつく等)を『愛着行動』、そして、それを受けて養育者が適切に対応する事が、『養育行動(適切な応答)』となります。
図で表すと、
まだ人類が誕生して、野生の肉食動物が周りにたくさん居た原始時代から、弱い立場である赤ちゃんにとって、生存する確率を高める為に、赤ちゃんは養育者に『守ってもらわなければならない』訳です。
そして、守ってもらった実感を養育者に対して、
更なる愛着行動をもって示し、養育者により強固に守ってもらおうとします。
この好循環の繰り返しが、愛情へと昇華していくのです。
この事からも、『愛は技術』と心理学者エーリッヒ・フロムは論じていましたが、それは真実でしょう。
そして、そのつながりを強固にしていくことで、更なる生存確率を高めていくという事になっていきます。
これらは、人間が進化していく過程において、
より種の発展を目指す上で進化論的に獲得した、生存を高める為の『本能』である、と言えるでしょう。
実は、この本能、人が生きていく上で大変必要不可欠なものですが、あまりにも強烈過ぎて、その人そのものの生き方に多大なる影響を及ぼしています。
それが良い影響だけならば問題はないのですが…。
生存を高める為の本能が、その人の生存そのものを苦しめてしまう材料になってしまうケースもあります。
何故、そんな事になってしまうのでしょうか?
そもそも、障害福祉サービスにどのような関係があるのでしょうか?
謎が謎を呼び、次回へと続きます。